行き過ぎたビタミン神話

ビタミンには元気の源というイメージがある。さまざまな

効能も、ちまたで語られているが、本当はどうなのだろうか?

 

ビタミンは体内で潤滑油のような働きをしていて、これなしで

生きていけないのは確かだ。ただ、エネルギー源ではないため

元気が出ることはない。13種類あるが、よく知られているも

のについて最新情報をまとめておこう。

 

ビタミンAには、目をよくする作用があるといわれてきた。

しかし、健康な人が日常的に補給しても、目の病気を予防

できるわけではない。

 

ビタミンB郡は、がん・神経痛・口内炎・円形脱毛症などに

効くとされているが、大規模調査のデータを見る限り、これ

ら病気を予防する効果は証明されていない。

 

ビタミンCを服用すると、肌がきれいになり、風邪も予防で

きると信じている人が多い。しかし、これらの効能について

もエビデンスは存在しない。

 

欧米では、ビタミンCとEに心臓病の予防効果があるともいわ

れてきた。この点を確かめようと、大規模な調査が米国で行な

われた。

8万人の医師が対象で、摂取状況と病気との関係が分析された。

 

3割もの医師がビタミンを習慣的に補給しており、専門家と

いえども考えることは同じであることが分かった。しかし、

心臓病を予防する効果は一切認められなかった。

女性を対象にビタミンCとEのがん予防効果をみる研究も行な

われたが、結果は否定的だった。8千人のボランティアを無作

為に2群に分け、一方にビタミンの錠剤を、他方には偽薬を服

用してもらい、9年かけて追跡するという本格的なものだっ

た。

 

ビタミンはどれも体内でほとんど合成できず、食事から摂るし

かない。この点が、数々のビタミン神話を生むもとになったよ

うだ。しかしごく少量あれば足りる。例えば、ビタミンCは、

普通に食事をしている限り、数ヶ月分の必要量が体内に備蓄

されている。

摂りすぎたビタミンは、そのまま対外に排泄されるか、体内に

蓄積されて副作用を起こすかのどちらかしかない。

人間の体は余計なことをしなくとも生きていけるよう、うまく

出来ている。「普通の食事」を心がければいい。

 

新潟大学教授  岡田 正彦著

(平成22年7月25日 日本経済新聞掲載)

 


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