催眠時に自己暗示による精神強化手法

実は私たちは、一日のうちで自然に催眠状態になる時が二度あります。

 

一つは、夜寝る前で、

もう一つは朝、目が覚めた時です。

 

1.続ければ必ず効果が出る「連想暗示法」

私達の心の中には、過去のいろいろな体験が蓄えられています。

たとえば、何か一つのことを思うと、それに関連した事柄が次々と思い出されます。これを連想と言います。

この連想という心の働きを上手に活用して、人々の心を強く、

明るく、豊かなものにしようとする方法が連想暗示法です。

 

もっとも効果的な暗示は「就寝前」に与えられた暗示です。

寝がけの意識状態の特徴には次の3つがあります。

 

①眠ろうとするので、大脳は徐々に活動を停止し、静止作用が働く

②暗示を拒否することなく、

 自分の考えることを無条件に受け入れる

③与えられた暗示は効果的に潜在意識に印象づけることができる

 

だから、寝際の気持ちを積極的にすれば、効果的に観念要素を積極化することができるというわけです。

具体的には、楽しいこと、嬉しいこと、明るく、尊く、強く、正しく、清らかなことを思いながら寝るのです。

 

寝際の気持ちは一晩中、私達の潜在意識を左右します。

たとえば、寝際に、怖いテレビを見ると怖い夢を見ることがあります。私も、ある夜中に自分が煙に巻かれ、逃げまどって苦しむ夢を見ました。その理由はすぐにわかりました。

 

私の専門はリスクマネジメントで、そのころちょうどリスクマネジメントに関する本を執筆しており、たまたま、その夜は”煙のリスク”について書いているところでした。

”日頃から非常口を確認しておかなければ、いざ確認しておかなければ、いざ火事になった時、煙に巻かれて逃げ場を失うことになる。”と書きながら寝てしまったためだったのです。

 

消極的な考えを打ち消そうと努力するよりも、楽しいことをたくさん考えた方が容易で効果的です。

心の中では、同時に二つの相反する観念が成立しないからです。

 

病のある人は、それがぐんぐん良くなって元気に働いている姿を想像すると、早く元気になります。

同様に、仕事で困難に直面して悩んでいる人は、それが解決して好転した状態を想像するとよいでしょう。

にこやかに、ほほえみつつ眠ると、寝顔は美しくなります。

 

連想暗示法は、暗示感受習性が特別な時、

        すなわち就寝前に行うのがよい」と、

中村天風は次のように説明しています。

 

暗示感受習性の特別な時とは、人間が眠りにつく前に精神生命に発生する現象です。

これから熟睡しようというトランスの状態に入る直前には、

実在意識が思ったり考えたりしたことが、力ある同化力を働かせて、無条件に潜在意識の中に入り込みます。

人間が眠りにつくときは、精神生命に収束を与え、無我の境へと人々の心を誘い入れるための準備を整えようという、

造物主の思し召しの時なのです。

この時、実在意識が考えたことは無条件に潜在意識に入りこんでいきます。

眠ることは人間の精神状態を無我の境へ導くための造物主の意図であります。

 

昔のお年寄りは、実際に子どもたちに”桃太郎”や”カチカチ山”といった勇敢なお伽話を聞かせたものです。

フランスでは、学校で一番人気のある先生に依頼して、

力強いストーリーを録音してもらい、それを夜寝る前に、

子どもたちに聞かせる習慣があったそうです。

 

人間は睡眠に入る前に、精神を複雑から単一へと収束し、

意識は無我の境へと導かれます。

その時に実在意識にあるものを無条件に潜在意識の倉庫へ導き入れるのです。

これは睡眠の直前に人間の精神生命に起こる自然現象です。

 

昼間、どんなに腹が立ち、悔やむことがあっても、夜寝る時に、いったん枕に頭をつけたら、それらをきれいさっぱり忘れ去り、何にも考えないことです。

というのも、夜寝ている時は、自分の生命を活性化する造物主の大きな力を頂戴する時だからなのです。

 

哲学者のカントは自分の寝室に”ここでは考えごと無用”と書いた紙を貼っていたと言います。

寝床の中では考えごとはしないほうがよいのです。

 

とくに、怒り、怖れ、悲しみといった消極的なことを考えてはいけません。寝ている時は身体が休む状態になり、身体を倒した時は昼間とは違った状態になっています。

身体から力を抜き、心も十分にゆるめることが必要です。

 

消極的なことを考えてはいけません。

寝際になると、どうしても悲しいこと、苦しいことを考えずにはいられない人があります。

しかし、そういう人も嬉しいこと、楽しいことを考えている時には、悲しいこと、苦しいことを忘れているはずです。

 

連想暗示法というのは、この原理を応用するわけです。

 

よく寝て心を休ませると、以前よりもずっと良い考えが浮かんできます。

寝がけには、思えば思うほど楽しく、考えれば考えるほど嬉しいことを心に思い描いてみましょう。

 

何でも良いから嬉しいこと、楽しいことを考えなさい。

夜の寝際は哲学的に言うと、生ける生命をそのまま偉大な造物主のお力にお預けする時なのです。

夜の寝際には、もっときれいな気持ちになりなさい。

磨きたてた真珠を、薄絹のベールに包んだような

きれいな気持ちになりなさい

と中村天風は諭しています。

 

 

2.断定暗示法

寝がけに与えた暗示は一晩中、潜在意識の中で活動し続けます。

これだけでも大きな効果がありますが、さらに断定暗示法を行うといっそう増大します。

 

翌朝目覚めた時に、昨晩与えた暗示の言葉を、

再び繰り返すのです。これは、その暗示を断定し、

暗示効果を確認するために行います。

 

前の晩に”お前は信念強くなる”と暗示したら、

翌朝は「私は信念強くなったぞ!」と、力強く、声に出して言います。

同じ要領で”お前は物事を気にしなくなる”と、前夜に暗示をかけたのであれば「私は物事を気にしなくなった!」と断定します。

 

この言葉は1回だけでなく、1日の中で何回も繰り返します。

もちろん、現状とは違っていてもかまいません。

現在の状態をよりよい方向へ転じるために行うためのものなのですから。

 

断定暗示法の要領は次のとおりです。

 

①朝、目覚めてすぐ

②鏡を使わずに

③一人称(”今日は私は”)

④昨晩の暗示と同じ暗示を

⑤断定する(それが”成就した”という観念で断定する)

⑥現状に関係なく

⑦昼間、何回も繰り返し断定する(何度も行って徹底する)

 

以上のように、連想暗示法、断定暗示法は、睡眠をはさんで、

一連の暗示を実在意識から潜在意識へ、

潜在意識から実在意識へと往復させ、心の中に強く、明るく、

豊かな観念要素を植え付ける方法です。

 

これらの自己暗示法を毎夜行っていると、私たちの希望はどんどん叶えられるようになっていくのです。