正しく楽しい食事は健康・長寿の源

1.粗食と美食・・・・美食、加工食を避け、粗食に徹する

 

そもそも、粗食と美食のどちらのほうが

栄養があるかというと、

意外なことに美食には栄養効果が少なく、

むしろ粗食のほうが健康には良いのです。

というのも、一般的な美食は食品が過度に調理されるため、

必然的に養分が失われてしまうからです。

野菜など、生で食べられるものは、そのまま加工せずに

果物と同じように食べるのが理想的です。

 

現代人の食事は、本来の目的である肉体の回復よりも

”食欲を満足させる”という、享楽的な目的で調理されています。

だから現代人の食事は自然のものが少なく、

不自然なものが多いのです。

その結果、食物本来の滋養分が失われるとともに、

美味に食欲が誘惑され、どうしても食べ過ぎることになります。

それゆえに美食家は、無病、長寿どころか、多病、短命に終わることも多いようです。

食事はできるだけ””植物食を心がけましょう

 

2.嗜好と成分の関係

一般に、好き嫌いが多い人の中には身体の弱い人が多いようです。

しかし、そのような人にも、たとえ滋養物であっても本人の好まないものを無理に食べさせてはいけません。

 

人間は自分の肉体に欠乏する成分を含む食事を好み、

自分がすでに十分保有する成分は好まない生き物だからです。

この”成分”というのは炭水化物や蛋白質、脂肪といったものではなく、科学的にまだ解明されていない未知の成分です。

 

たとえば、ある人がナマコやウニが好きな場合には、

この人はナマコやウニの中にある霊妙な未知の成分を欲しているのです。その証拠に、いくら好きなものでも多量に食べ続けると嫌になります。

それは肉体が要求している成分が十分に供給されたためなのです。

 

3.咀嚼の大切さ

どんな食物でも十分の咀嚼

  ~よく噛んでから胃へ送りましょう。

現代人に胃腸の弱い人が多いのは、

咀嚼を十分に行っていないからです。

 

これは比較的軟らかいものを多く食する機会が増えたため、

そして食事の時間が短縮化しているためだと考えられます。

よく噛まずに食物を胃に送ると、次のような弊害があります。

 

①唾液が十分に食物に混入しないため、

 澱粉質の消化が不完全になる

②消化器官内の消化に必要な各種の分泌液の分泌作用が

 完全に促進されない

③半咀嚼の場合には、ややもすると食べ過ぎになる

④不完全咀嚼が習慣になると、噛まなくてもよい軟らかいものを

 多く食べるようになり、野菜や穀物や果物といった、

 咀嚼を要する食物を食べないようになる。

 そのため、腸内の発酵率を高め、腸の自家中毒を

 引き起こしやすくなる

⑤歯や顎をあまり使わなくなるため、その部分が退化し、

 歯槽膿漏などの歯の病気にもかかりやすくなる

 

また、食物の咀嚼が不完全だと舌の機能を十分に発揮させないことになってしまいます。

舌は、口の中に入ったものが良い食物か悪い食物かを

吟味する大切な役目をします。

悪い食物をそのまま胃腸へ送り込むと、

下痢やカタル性の病に侵されやすくなります。

 

咀嚼が不完全な不良物質が血管に送られると、

血液は不純潔になります。

血管の中には不純潔な血液を選別する機能がないので、

脳から足の先まで不純潔な血液が循環することになります。

そのような人の頭脳は明晰ではなく、

また肉体も健康ではないのです。

 

では、咀嚼はどのように行うべきなのでしょうか?

食物を飲み込むことはせず、

”知らず知らずの間に、自然とのどに入っていく”

くらいまで噛み続けるのが理想です。

このことをヨガでは次のように述べています。

 

「食物を口の中へ入れたら、それが咀嚼とともに次第に溶解し、ついに無意識に、その食物が胃の中へ流れ込むまで噛みなさい。そして、その食物に味わいのある間は、まだ、その中に分離吸収されるべき活力素が残っているのだから、その味わいが感じられなくなるまで咀嚼しなさい」

 

このような習慣がつくと、とくに珍しい食べ物でなくても、

たとえパンの一片、お握りの1個でも、何とも言えない美味しさを感じるものです。

現代の人々が、食物に対して贅沢で味覚を刺激するものばかり欲しがるのは、咀嚼が不完全なために、真にその食物の味わいを味わうことができないからかもしれません。

 

このような食事法を行っていると、きわめて少量の食事の中からでも、驚くべき精力と栄養を摂取することができるようになります。

そして、すべての食事が感謝すべき天からの贈り物と自覚できるようになっていきます。

 

4.食事の分量について

”腹八分に医者いらず”ということわざもあるように、

腹八分目を基準とするのが理想です。

中国のことわざにも”食細くして命長く、食太ければ命短し”

というのがあります。

 

食欲を満足させるために、ついつい美味しいものを多量に食べる人を多く見かけますが、周知のとおり、成人病の原因の大半は過食や美食によるものです。

 

食べ過ぎが習慣になると、胃拡張になり、いつも身体が真に要求する以上の食物を食べないと満腹を感じないという、不経済な身体になります。

平素から必要以上に多く食べていると胃腸は余分な力を費やし、栄養分も十分に吸収されないまま排泄されます。

その結果、少しでも空腹を覚えると、

すっかり力が抜けたようになってしまうのです。

 

これに対し、日ごろから小食の習慣をつけると、

いつも頭脳は明晰、身体は軽快になる上、なんとも言えない

さわやかな生きがいを感じるようになります。

 

小食の習慣をつけるために、

     中村天風は次の2つを掲げています。

①できるだけ咀嚼を完全にすること

②二食主義を励行すること

①については前述したとおりです。

②の二食主義(朝食と夕食の二食)については、

昔から日本人は二食であったことに由来します。

 

昼食が習慣化したのは、徳川吉宗公が世を治めた享保年間以降だと言われています。

享保より前の元禄時代に精米技術が発達したおかげで、

白米が広く普及するとともに、庶民が三食を食べるようになったのですが、それまでの玄米食から白米食になったため

”江戸わずらい”すなわち脚気が大流行したという記録も残っています。

伝統的な日本の食事

~玄米などの穀類、季節の野菜、海草や魚介類~

とともに、二食主義を実行してみるのもいいかもしれません。

 

5.”理想的な食生活”チェックリスト

最後に、理想的な食生活を送るためのチェックリストを示します。

入念に検討し、実行するようおすすめいたします。

 

”理想的な食生活”チェックリスト
動物性食物を食べ過ぎていないか?
脂肪類を摂りすぎていないか?
果物や野菜を十分に食べているか?

日に一度くらいは、生の植物性のものを食べているか?

みだりに加工変形し、濃厚な味付けをした

贅沢な料理を食べ過ぎていないか?

極端に熱いものや冷たいもの、

あるいは、刺激の強いものを食べ過ぎていないか?

十分に咀嚼し、落ち着いて食事をしているか?

真に空腹を感じてから食べているか?

食欲にまかせて食べ過ぎていないか?

いつもニコニコと機嫌よく、

感謝しながら食事をしているか?